目は口ほどに物を言う
今日、ボスがやってきて、
「お前は、ジャパニーズメープルを知ってるか?」
「もみじ?のことですか?」
「そうそう、葉っぱが手のひらみたいなやつだ」
そこから、今度買おうと思ってるという盆栽のはなしを延々と話し続け、この種類の木はこうだ、あの種類の盆栽は葉っぱの色がきれいだ、などとさんざんしゃべったあげく、ボスは去っていった。う〜む、いったいなんだったんだろう?
そんな話を聞いていると、ここが日当りのよい縁側かのような錯覚に陥ってくる。もうこっちとしては、
「はいはい、おじいちゃん、盆栽好きなんですねえ」
くらいの勢いだ。残念ながら、こっちは近所の茶飲み友達の吉川重蔵さん(68)ではないので、適当に聞き流すしかない。聞き上手の重蔵さんだったら、うちのボスももっと満足するだろうになぁ……。
しかし、そんな会話でも言葉を介してなされている分、以前よりずっとましになったもんだ。最近は収まってきたけれども、以前はうちのボスとの意思疎通の手段は擬音とジェスチャーだった時期があった(まじで)。といっても、向こうが一方的だったんだけれども。研究のディスカッションも擬音とジェスチャーと筆談。そんなに英語出来なさそうだったかなあ?ちょっと想像してみてもらいたい、自分の上司が全部ジェスチャーで仕事の指示を出してる様を!完全にコントだ!「笑っていいとも」のテレフォンショッキングのあとに、「上司がジェスチャーで指示を出してくる人?」って聞いたら、100人中1人でストラップとかもらえちゃうかもしれん。1人もいないとは思うが。
でも、それでもましな方なのだろう。同僚の中国人はいつも、犬のような扱いを受けている。ボスが、彼を呼ぶとき、「○○!」と叫んだあと、必ず口笛を鳴らすのだ。とはいっても彼も犬ではないので、「ワンワン」とやってきたりはしない(当たり前だ)。おかげで、ボスは何回も口笛を鳴らすはめになるのだが、その度に「しつけのなってない犬だな(笑)」とちょっとブラックな事を思ってしまうものである。
しかし、それを遥かに上回る猛者がいる事を思い出した。ついこないだまでアメリカで研究留学していたSさんは、ボスのとのコミュニケーションは、「笑顔とアイコンタクト」と言っていた。まばたきでモールス信号みたいな事をするのだろうか?
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